PR

倉田三ノ路版(スクエニ・ビッグガンガン)薬屋のひとりごとの特徴まとめ

古代中国風の後宮を背景に、装丁の異なる2冊の漫画本が左右に並び、それぞれ別の作家名が小さく添えられたイメージ 薬屋のひとりごと

検索でよく混同される「スクエニ(ビッグガンガン)版」と「倉田三ノ路版」は、実は別々のコミカライズ作品です。

結論から言うと、スクウェア・エニックス「月刊ビッグガンガン」版を描くのはねこクラゲさん、小学館「月刊サンデーGX」版を描くのが倉田三ノ路さんです。

この記事では、両者を一度きっちり整理したうえで、作画・ストーリー・演出・部数・アニメとの関係までを、プロの編集者視点で丁寧にまとめます。読み終わるころには「自分はどっちを読むべきか」まではっきりするはずです。

はじめまして、アニメ・漫画考察ライターの高橋凛です。

「薬屋のひとりごと スクエニ」「薬屋のひとりごと 倉田三ノ路」と検索して、どっちがどっちだか分からなくなった——そんな経験はありませんか。

私も2誌同時連載を初めて知ったときは少し戸惑いました。だからこそ、同じ疑問を持つ方のために、ここで一度きっぱり整理しておきます。

薬屋のひとりごとの漫画は2種類?スクエニ版と倉田三ノ路版はどっちがどっち

まず押さえたいのは、「薬屋のひとりごと」のコミカライズは2017年から2つの月刊誌で“別々の漫画家”によって並行連載されている、という事実です。

原作は日向夏さんによるライトノベルで、中華風の架空帝国を舞台に、ミステリーとラブコメを掛け合わせた人気作です。

そのコミカライズが、次の2種類に分かれています。

  • スクエニ・ビッグガンガン版:作画・ねこクラゲさん、構成・七緒一綺さん。スクウェア・エニックス「月刊ビッグガンガン」連載。タイトルは『薬屋のひとりごと』。
  • サンデーGX版(倉田三ノ路版):作画・倉田三ノ路さん。小学館「月刊サンデーGX」連載。タイトルは『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』。

つまり「倉田三ノ路版」は小学館・サンデーGX側の作品です。

一方で、検索で多い「薬屋のひとりごと スクエニ」「薬屋のひとりごと ガンガン」が指すのは、ねこクラゲさんが描くビッグガンガン版のほうなのですね。

ここが最大の混同ポイントだと、筆者は感じています。

書店やネット書店でスクエニ・ビッグガンガンのコミックスを探している方が、作画名で「倉田三ノ路」と調べてしまうと、意図せず小学館のサンデーGX版にたどり着いてしまうことがあるからです。

まずは「スクエニ=ねこクラゲ」「倉田三ノ路=サンデーGX(小学館)」という対応だけ、頭の片隅に置いてみてください。この一点を押さえるだけで、以降の書店選びでの迷いはほぼ消えます。


なぜ「薬屋のひとりごと」は2誌同時連載という珍しい形になったのか

そもそも、なぜ同じ原作が2つの出版社で同時にコミカライズされているのでしょうか。読者が本当に知りたいのは、この「なぜ2種類あるのか」だと思います。

連載が始まったのは両版とも2017年です。

ビッグガンガン版は2017年6月号(2017年5月25日発表)、サンデーGX版は2017年9月号(2017年8月19日発表)でスタートしました。発表はビッグガンガン版がわずかに先行しています。

ライトノベルのコミカライズで、出版社をまたいで複数版が同時展開されるのは、実はかなり珍しい形です。

多くの作品は一つの出版社・一誌で独占的にコミカライズされます。それが2誌で並行したのは、原作の人気と商業的なポテンシャルが、企画段階から高く見込まれていたことの表れだと筆者は考えています。

異なる読者層を持つ2誌——少女漫画的な華やかさと相性のよい誌面、青年向けでミステリー色と相性のよい誌面——に、それぞれの作風で届ける。結果として作品全体のリーチが広がる構図になっています。

この「珍しさ」こそが、同時に「混同されやすさ」も生んでいる、というのが実態なのですね。


スクエニ(ビッグガンガン)版「薬屋のひとりごと」の特徴とは?

では、検索ニーズの中心であるスクエニ・ビッグガンガン版から見ていきましょう。

このビッグガンガン版は、スクウェア・エニックスの月刊ビッグガンガン(毎月25日発売)で連載されています。

作画はねこクラゲさん、構成を七緒一綺さん、キャラクター原案を原作小説の挿絵も手がけるしのとうこさんが担当しています。

最大の特徴は、なんといっても華やかで美しい作画です。

キャラクターの感情豊かな表情はもちろん、背景や衣装、装飾品にいたるまで細やかに描き込まれ、ビジュアル面の完成度が非常に高い仕上がりになっています。

作風はやや少女漫画寄りで、主人公・猫猫(マオマオ)のかわいらしさや、宦官・壬氏(ジンシ)の美しさをたっぷり堪能できるのも魅力です。

もう一つ見逃せないのが、このビッグガンガン版が「次にくるマンガ大賞2019」のコミックス部門で第1位を受賞している点です。受賞したのは、ねこクラゲさん作画のビッグガンガン版です。

この受賞をきっかけに発行部数が大きく伸びたとされ、作品の知名度を押し上げた立役者といえるでしょう。

ストーリー展開は比較的ゆるやかですが、そのぶんキャラクターの心情変化を丁寧に掘り下げ、人間関係の濃密さをしっかり映し出しています。

猫猫と壬氏の、もどかしくて進展しそうでしない関係性も、ドラマチックに描かれているのが持ち味です。

個人的には、世界観にどっぷり浸りたい読者や、キャラクター同士の掛け合い・恋愛要素を中心に楽しみたい読者に強くおすすめできる版だと考えています。

※画像はAIによるイメージ

なお、ビッグガンガン版のコミックスはスクウェア・エニックスから刊行されており、2026年7月時点で既刊17巻です。

最新の第17巻は2026年7月24日に発売され、価格は770円(税込)。内容としては「砦編」が完結し、原作小説第4巻のクライマックスにあたる場面が収録されているとされています。

楼蘭と再会した猫猫、子(シ)一族の反乱を鎮圧すべく砦へ突入する壬氏たち——という、物語の大きな山場を描く巻です。

発売日・価格・収録範囲は変動・改訂の可能性があるため、購入前には最新情報を各公式でご確認ください。


倉田三ノ路版(サンデーGX)「薬屋のひとりごと」の特徴は?

次に、もう一方の「倉田三ノ路版」、すなわちサンデーGX版の特徴を整理します。

こちらは小学館の月刊サンデーGX(毎月19日ごろ発売)で連載され、作画を倉田三ノ路さんが担当しています。

タイトルは『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』と、サブタイトル付きなのが見分けのポイントです。

作風の特徴は、原作小説の展開に忠実で、ミステリーや謎解きの要素に重点が置かれていること。

ビッグガンガン版では簡潔にまとめられる事件の説明も、サンデーGX版ではより詳しく丁寧に描かれ、小説だけでは少し分かりにくい部分を補完してくれる点が魅力です。

作画は全体的に落ち着いたトーンで、大人でも読みやすい雰囲気にまとまっています。

猫猫は冷静で理知的なキャラクターとして描かれ、壬氏に対してもクールでドライな対応が多め。誇張を抑えた“少年漫画寄り”の整合性重視の作風といえます。

そして大きな違いが「テンポ」です。

サンデーGX版は話の展開が早く、エピソードごとにぐんぐん進んでいくため、先の展開を早く知りたい読者に向いています。

倉田三ノ路版(サンデーGX版)のコミックスは小学館から刊行され、2026年6月時点で既刊22巻。ビッグガンガン版(17巻)よりも物語の進行が一歩先行しているのが現状です。

連載の発表自体はビッグガンガン版(2017年5月25日)のほうが先でしたが、進行はサンデーGX版(2017年8月19日発表)が追い抜いた形になっています。

なお、サンデーGX版最新巻の発売日・価格については流動的なため、本稿では確実な数値の断定を避けます。最新巻の情報は小学館の公式でご確認ください。

※画像はAIによるイメージ

2つの漫画はどう違う?作風・ストーリー・演出を比較

ここで、スクエニ・ビッグガンガン版と倉田三ノ路版(サンデーGX版)の違いを、ひと目で分かるよう比較表にまとめます。

比較項目スクエニ・ビッグガンガン版倉田三ノ路版(サンデーGX版)
作画ねこクラゲ(構成・七緒一綺)倉田三ノ路
出版社・掲載誌スクウェア・エニックス/月刊ビッグガンガン小学館/月刊サンデーGX
タイトル薬屋のひとりごと薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~
作風華やか・少女漫画寄り落ち着いた・少年漫画寄り
重視する要素恋愛・感情・世界観ミステリー・推理・原作忠実
展開のテンポゆるやか・じっくり早い・スピーディー
既刊17巻(2026年7月時点)22巻(2026年6月時点)

同じ原作がベースなので、物語の大筋そのものに大きな違いはありません。

違いが出るのは「進み方」と「見せ方」です。

ビッグガンガン版は、情景やキャラクターの仕草、心理描写まで丁寧に描き込み、世界にじっくり浸れる構成になっています。

構成を担当する七緒一綺さんの手腕で、コマ割りや場面の緩急にもこだわりが感じられ、ドラマチックに演出されているのが特徴です。

対してサンデーGX版は、無駄をそぎ落としつつ重要なシーンではセリフや心理描写を補強し、まるで推理小説を読んでいるような緊張感を生み出しています。

キャラクターの表情にも違いが表れます。

ビッグガンガン版の猫猫は表情がコロコロと豊かに変わりキュートに描かれる一方、サンデーGX版の猫猫は理性が前に出る、クールで落ち着いた描写が多めです。

同じ少女なのに、ここまで印象が変わるのかと驚く読者も少なくないでしょう。

※画像はAIによるイメージ

売上部数とアニメとの関係は?

気になる売上部数も見ておきましょう。

発行部数は、ビッグガンガン版が約700万部、サンデーGX版が約500万部とされており、スクエニ・ビッグガンガン版がやや優勢です。

ただし、この部数の基準時点には注意が必要です。ビッグガンガン版は2021年11月時点、サンデーGX版は2021年6月時点の情報を基にしています。巻数(2026年時点)とは基準日が異なるため、同じ「現在の数字」として並べて読むと誤解のもとになります。

ビッグガンガン版は前述の「次にくるマンガ大賞2019」1位受賞をきっかけに部数を大きく伸ばしました。一方のサンデーGX版も500万部超えと、根強い支持を集めています。

なお、小説・漫画を合わせたシリーズ累計発行部数は、2026年時点で4,500万部を突破したとされ、まさに社会現象級の作品です。

部数・累計はいずれも各社の公式発表が一次情報です。最新の数値は各公式でご確認ください。

では、アニメはどちらの漫画に近いのでしょうか。

アニメ版のキャラクター原案は、原作小説の表紙・挿絵を手がけるしのとうこさんが担当しています。

そのため、どちらか一方の漫画版を直接の土台にしているわけではなく、あくまで小説イラストをもとにしたアニメ独自のビジュアルです。

ただし、作画の華やかさやストーリーの見せ方から「ビッグガンガン版の雰囲気に近い」と感じる人が多いようです。

テレビアニメは第3期が2026年10月2日から放送開始となっており、アニメから入った方には、作画の近いスクエニ・ビッグガンガン版が読みやすいかもしれません。


考察:倉田三ノ路版とスクエニ版、プロ視点でどう読み分けるか

ここからは、ジャンルを長く追ってきた一読者・書き手としての、筆者個人の見解をお伝えします。

まず強調したいのは、「倉田三ノ路版(スクエニ・ビッグガンガン)」という検索の仕方そのものに、多くの読者のつまずきが凝縮されている、ということです。

実際には倉田三ノ路さんはサンデーGX(小学館)側の作画担当であり、スクエニ・ビッグガンガン版はねこクラゲさんが描いています。

この混同が生まれるのは、2誌同時連載という珍しい形態に加え、キャラクター原案のしのとうこさんが両版の“根っこ”を共有していることで、ビジュアルの印象が近く見える瞬間があるからだと、筆者は分析しています。

そのうえで「どちらを選ぶか」ですが、ここは“好み次第”で終わらせず、読者タイプ別に踏み込んで整理します。

アニメから入った新規層には、ビッグガンガン版が第一候補だと考えます。作画の質感がアニメに近く、放送で好きになったキャラの表情やビジュアルをそのまま延長で楽しめるからです。入り口の違和感が最も少ないのは、この層にとってこちらでしょう。

原作小説を読み込んだ既読層には、サンデーGX版が刺さると見ています。原作に忠実な補完や、事件説明の緻密さは、小説の記憶を持つ読者ほど「ここをこう絵にするのか」という発見につながるからです。

推理・謎解きそのものが目当ての層にも、サンデーGX版を推します。緊張感の演出とテンポの速さは、ミステリー読者の「早く真相に迫りたい」という欲求と噛み合っています。

次に、この「同一原作2誌並行」という稀な事例を、業界の文脈に置いてみます。

人気ライトノベルでは、アニメ化と前後して複数メディアに展開される例は珍しくありません。ただ、出版社をまたいで作画の異なるコミカライズが同時に走り、しかも両方が数百万部規模まで育つケースは、ごく限られます。

多くのメディアミックスでは、一つの「公式の顔」となるコミカライズに人気が集約されがちです。それに対して本作は、作風の方向性を明確に振り分けたことで、競合ではなく“棲み分け”を成立させている——ここが特異点だと筆者は見ています。

今後の見通しです。

アニメ第3期の放送は、作画の印象が近いビッグガンガン版への新規読者流入をさらに後押しすると予想します。短期的には、ビッグガンガン版の優勢が強まる可能性が高いでしょう。

一方で、サンデーGX版が淘汰されるとは筆者は考えていません。「アニメや他版の先を早く知りたい」という需要の受け皿として、進行の速さそのものが代替しにくい価値になっているからです。

つまり本作は、どちらかに一本化されるのではなく、“役割の違う2版が共存し続ける”という、メディアミックスの一つの成功モデルを示していると筆者は結論づけます。

個人的には、どちらかを“正解”として選ぶより、同じ物語を異なる演出で二度味わえる贅沢を、ぜひ楽しんでほしいと感じています。


薬屋のひとりごと 2つの漫画の違いまとめ

結論をもう一度、一行で。倉田三ノ路版はサンデーGX(小学館)、スクエニ・ビッグガンガン版はねこクラゲさんの作画で、両者は別作品です。

ビッグガンガン版は華やかな作画と恋愛・感情描写、サンデーGX版はミステリー重視で原作に忠実かつテンポが速い、という違いがあります。

部数はビッグガンガン版が約700万部とやや優勢(2021年時点)で、アニメの雰囲気にも近め。選ぶ基準は「ビジュアルと世界観」か「謎解きとテンポ」か、自分の好みで決めるのがいちばんです。

数値・日付は本文に記した基準時点のものです。最新情報は各公式でご確認ください。


よくある質問

薬屋のひとりごとの漫画はなぜ2種類あるのですか?

2017年から、小学館の月刊サンデーGXとスクウェア・エニックスの月刊ビッグガンガンという2誌で、それぞれ別の漫画家が同じ原作をコミカライズしているためです。作風を少女漫画寄りと少年漫画寄りに振り分けることで、異なる読者層に届ける狙いがあったと考えられ、結果として両版ともファンを獲得しています。

倉田三ノ路さんが描いているのはスクエニ版ですか?

いいえ。倉田三ノ路さんが作画を担当しているのは小学館のサンデーGX版『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』です。スクエニ・ビッグガンガン版の作画はねこクラゲさんが手がけています。

スクエニ(ビッグガンガン)版とサンデーGX版はどちらが人気ですか?

発行部数ではビッグガンガン版が約700万部、サンデーGX版が約500万部(いずれも2021年時点)とされ、スクエニ・ビッグガンガン版がやや優勢です。ただしサンデーGX版も根強い支持を集めており、どちらも高く評価されています。最新の数値は各公式でご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました