2024年9月13日放送のアニメ『ちいかわ』第202話「スロット①」では、ちいかわ・ハチワレ・うさぎの心と体が入れ替わりました。青木遥さん・田中誠人さん・小澤亜李さんの3人は、担当する体のキャラクターのまま、中に入った別のキャラクターを演じ分けています。
この「体側の声優が続投する」配役が、ファンのあいだで「神回」と呼ばれています。原作はナガノさんがX(旧Twitter)で2021年12月に投稿したエピソードで、アニメ化まで約1000日かかりました。
この記事では、スロット編が何話で、どんな話なのかを先に整理します。そのうえで、3人の演技がなぜここまで評価されたのかを、2022年の声優インタビューや他作品の入れ替わり演出とくらべて読み解きます。
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ちいかわ入れ替わり回(スロット編)は何話?放送日とあらすじを結論から解説
結論から言うと、入れ替わりが起きるのはアニメ第202話「スロット①」です。
放送は2024年9月13日(金)の朝7時40分ごろで、フジテレビ系『めざましテレビ』の中で流れました。PASH! PLUSの記事によると、放送後はYouTube・FOD・TVerで1週間限定の見逃し配信も行われています。
スロット編は1話で終わりません。9月17日放送の第203話は「スロット②」で、そのあとも「スロット」の題で続く連続エピソードになっています。
アニメーション制作は動画工房です。1話が数分程度の短い作品なので、原作のコマ運びに近いテンポで話が進みます。
物語の始まりはうさぎが見つけた「あやしいゲームセンター」
物語は、うさぎがさびれたゲームセンターを見つけ、ちいかわとハチワレを連れていくところから始まります。
3匹は床に落ちていたメダルを拾い、スロットを回してみることにします。ハチワレは他人のメダルを勝手に使っていいのかと心配しますが、うさぎは気にせずスロットを回してしまいます。
ちいかわの世界では、うさぎが言い出したことから始まる話は、たいてい不穏な方向に転がります。原作を知る人なら、この導入だけで嫌な予感がしたのではないでしょうか。
図柄がそろっても何も起きない、と思った直後に異変
スロットでは、矢印がぐるりと回るような図柄がそろいます。ところが、その瞬間は何も起こりません。
少し間を置いてから異変が起きます。いつもは短い声しか出さないちいかわが、流暢に喋り出すのです。
うさぎはおろおろしたような反応を見せ、ハチワレは足を組んで妙に落ち着いています。やがて、ちいかわの体に入ったハチワレが状況を言葉にして、3匹の中身が入れ替わったことがはっきりします。
筆者としては、この「そろったのに何も起きない」という一拍の使い方がとてもうまいと感じました。視聴者が油断したところで異変を見せるので、ちいかわが喋ったときの驚きが何倍にも大きくなります。
ちいかわ入れ替わり回の声優は誰?「体側キャスト続投」の構図
アニメ化にあたって、ファンが一番気にしていたのは、入れ替わった3匹の声を誰が担当するのかという点でした。
答えは、体のキャラクターの声優がそのまま続投する形です。それぞれの声優が自分の担当キャラクターの「声帯」を使い、中に入った別のキャラクターを演じています。
分かりやすいように、表にまとめます。
| 見た目(体) | 中身(心) | 演じた声優 | 普段の担当 |
|---|---|---|---|
| ちいかわ | ハチワレ | 青木遥さん | ちいかわ役 |
| ハチワレ | うさぎ | 田中誠人さん | ハチワレ役 |
| うさぎ | ちいかわ | 小澤亜李さん | うさぎ役 |
たとえば青木さんは、ちいかわの声のまま、ハチワレの口調やテンションで台詞を話しています。ほかの2人も同じように、いつもの声で別のキャラクターになりきっています。
他作品とくらべて見える「ちいかわの選択」の意味
入れ替わりものの映像化には、大きく分けて2つのやり方があります。
- 声を中身に合わせて入れ替える:声を聞けば誰の心か一発で分かる。ただし、見た目と声がずれるため「入れ替わった」実感は弱まりやすい
- 声は体に合わせたまま、演技で中身を表現する:声優の演技力が問われるが、「本当に入れ替わってしまった」という生々しさが出る
国内アニメでは、後者が王道です。アニメ映画『君の名は。』では、瀧の心が入った三葉の体を、三葉役の上白石萌音さんがそのまま演じていました。高校生5人の人格が入れ替わるTVアニメ『ココロコネクト』も、体側の声優が別の人格を演じる形をとっています。
ただ、『ちいかわ』には、これらの作品とは決定的に違う条件があります。主人公のちいかわが、ほとんど言葉を話さないという点です。
『君の名は。』の三葉も瀧も、もともとよく喋る人物です。入れ替わっても「口調が変わる」程度の差で済みます。
一方、ちいかわの体にハチワレが入ると、「ほぼ喋らない声で、よく喋る性格を演じる」ことになります。逆に、うさぎの体にちいかわが入ると、「叫び声が中心のキャラの声で、内気で泣き虫な心を表す」ことになります。
つまり『ちいかわ』の入れ替わりは、同じ王道の手法でも、声優にかかる負荷がずっと大きいのです。キャスティングの判断過程は公表されていませんが、この難しい方を選んだことが、作品の魅力をいちばん引き出す結果につながったと筆者は考えます。
青木遥さんはハチワレを「練習」していた?2022年インタビューの伏線
入れ替わり回でいちばん話題になったのは、ちいかわ役・青木遥さんの演技です。
いつもの「ヤダ…」「ワァ…」といった短い声とは違い、ちいかわの声でハチワレのように明るく喋る姿に、多くのファンが驚きました。PASH! PLUSの記事でも、ちいかわの声優がハチワレの喋り方そのままだった、という趣旨の反応が紹介されています。
アニメ放送開始前から「一番好きなエピソード」だった
注目したいのは、アニメ放送開始直前の2022年3月31日にアニメイトタイムズで公開された、青木さんと小澤亜李さんの対談インタビューです。
一番好きなエピソードを聞かれた青木さんは、入れ替わる話を挙げています。小澤さんもすぐに同意していました。
青木さんは、姿がまったく違うのに心が入れ替わっている点が面白いと話しています。小澤さんは、漫画をリアルタイムで読んだときに「ちいかわの体でハチワレを演じるのは難しそう」と感じたと語りつつ、ちいかわがたくさん喋れることにも触れていました。
漫画を見ながら練習し、元の姿で「ハチワレのテンション」に
このインタビューで印象的なのが、青木さんの告白です。
青木さんは、Twitterで連載されていた漫画を見ながら、入れ替わり後の台詞を自主的に練習していたと明かしています。最初はとても難しかったものの少しずつ慣れていき、元の姿に戻る場面では、ついハチワレのテンションのままちいかわの台詞を言ってしまったそうです。
当時はまだ、入れ替わり編がアニメ化されるかどうかも分からない時期でした。小澤さんも「アニメが続けば見られるかもしれない」という趣旨の話をしていて、2人ともこの回を心待ちにしていたことが伝わってきます。
インタビューは「約2年半越しの伏線」だった
このインタビューから第202話の放送までは、約2年半あります。
筆者はこの流れを、作品の外側で張られていた伏線だと考えています。放送前の雑談のように語られた「練習してみた」という話が、2年半後に本編で実を結んだわけです。
しかも青木さんは、その2年半のあいだ、毎週の収録で田中誠人さんのハチワレをいちばん近くで聞いてきました。ファンのあいだでも、「長いあいだ隣でお互いの声を聞いてきた成果だ」という趣旨のコメントが寄せられています。
具体的な聞きどころは、語尾の上げ方と台詞のテンポです。ハチワレは、語尾を明るく跳ね上げながら、相手に話しかけるように言葉をつなぐキャラクターです。ちいかわの高く細い声のまま、その「跳ね」と「つなぎ」の間合いが再現されているからこそ、声質が違っても「ハチワレだ」と分かるのだと感じました。
小澤亜李さんと田中誠人さんの演技の聞きどころ
青木さんに注目が集まりがちですが、残る2人の演技にも見逃せないポイントがあります。
小澤亜李さん:暴れん坊のうさぎが一瞬で「繊細な子」に
小澤亜李さんは、うさぎの体に入ったちいかわを演じました。
普段のうさぎは、「ウラ」「ヤハ」といった豪快な叫び声が持ち味です。入れ替わり後は、それとは正反対の弱々しく控えめな声になります。
同じうさぎの見た目なのに、別の生き物のように見える。この変化は、小澤さんの声の幅があってこそでしょう。
アニメイトタイムズの対談によると、小澤さんはオーディションを受けるまで『ちいかわ』を知らなかったそうです。そこから、作品屈指の人気キャラクターであるうさぎの声を作り上げたうえに、今回は「うさぎの体のちいかわ」まで演じてみせました。
同じ対談で小澤さんは、うさぎは一人でも生きていけるけれど、ちいかわとハチワレの優しさがあって居心地がいいから3人でいるのではないか、という解釈を話しています。
この解釈をふまえると、入れ替わり回はさらに味わい深くなります。ひとりでも平気なうさぎの体に、いちばん繊細なちいかわの心が入る。そのギャップこそが、この回のおかしさと切なさの源になっているのです。
田中誠人さん:ハチワレの体で「言葉を手放す」難しさ
ハチワレの体に入ったのは、うさぎの心です。演じたのはハチワレ役の田中誠人さんです。
入れ替わり直後にハチワレが見せる、足を組んだ余裕の態度は、まさにうさぎそのものです。ハチワレの声からうさぎらしい奇声が飛び出す場面は、ファンにとってうれしい「お得感」がありました。
筆者が田中さんの演技でいちばん難しかったと考えるのは、「言葉で伝える」というハチワレの武器を手放す点です。
ハチワレは本来、前向きで優しく、自分の気持ちや作戦を言葉で説明できるキャラクターです。3匹の中で「会話」を担う役回りと言ってもいいでしょう。
その声で、言葉少なで何を考えているか分からないうさぎを演じるには、台詞を減らし、声色と間だけでキャラクターを立たせる必要があります。
青木さんが「喋らない声で喋る」挑戦をしたのに対し、田中さんは「喋る声で喋らない」挑戦をしたわけです。2人の課題がちょうど鏡写しになっている点も、この回の面白さだと感じます。
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ちいかわ入れ替わり回への反応は?「神回」と呼ばれた理由
第202話は、放送当日から公式YouTubeチャンネルで1週間限定の配信が始まりました。コメント欄には、放送直後から多くの感想が書き込まれています。
目立った反応を整理すると、次のとおりです。
- 「ちいかわが喋った」ことへの衝撃:朝に観て、驚きで目が覚めたという声
- 配役への称賛:声優を入れ替えず、体の声帯のまま入れ替わる演出を評価する声
- 演技の再現度への驚き:声はちいかわなのに、話し方はハチワレそのまま、という感想
- 声優同士の関係性への感動:長年となりで互いの声を聞いてきた成果だという見方
「驚きで目が覚めた」という反応に対して、「まさに“めざまし”テレビ」とツッコむコメントまであったのは、朝の情報番組の中で放送される『ちいかわ』らしいところです。
連載当時から続いていた「声優どうなる問題」
この反応の大きさには理由があります。
原作のスロット編がXに投稿されたのは2021年12月です。ちょうどアニメ化が発表された時期と重なっていました。
そのため連載当時から、「アニメになったら入れ替わった3匹の声はどうなるのか」とファンのあいだで意見が飛び交っていました。
アニメの話数ごとに原作との対応をまとめているファンサイトの集計では、第203話の放送は、対応する原作投稿から約1011日後にあたります。約1000日越しの答え合わせだったからこそ、「これを待っていた」という声が一気に噴き出したのだと思います。
考察:入れ替わり回が示した「声優の積み重ね」の価値
ここからは筆者の私見として、この入れ替わり回がなぜ特別なのかを考えます。
「喋らない主人公」だからこそ成立した最大級のサプライズ
まず大きいのは、主人公のちいかわが、普段ほとんど言葉を話さないキャラクターだという点です。
多くの作品では、主人公がいちばん喋ります。ところが『ちいかわ』では、主人公の声は短い鳴き声や感嘆が中心です。視聴者は2022年4月の放送開始から2年半、「ちいかわはこういう声のキャラクター」という前提で作品を観てきました。
その前提がひっくり返るからこそ、「ちいかわが喋った」がこれほどの事件になったのだと思います。個人的には、この回は作品が長く続いたからこそ効く演出であり、放送初期に同じ話をやっていたら、ここまでの衝撃にはならなかったと考えています。
原作の「文字」がアニメで「声」になった意味
原作漫画では、入れ替わり後の台詞は吹き出しの文字で表現されます。読者は、それぞれ頭の中で「ちいかわの声で喋るハチワレ」を想像するしかありませんでした。
アニメは、その想像に一つの答えを出しました。しかも、声優本人が2年半前から練習していた答えです。
原作の面白さをそのまま映像にするだけでなく、原作では描けなかった「声のギャップ」という新しい面白さを足した点に、アニメ版スロット編の価値があると筆者は考えます。短尺アニメなので演出の足し引きは控えめですが、そのぶん声の存在感が際立っていました。
入れ替わりは「共演者理解」のテストでもある
入れ替わりの演技では、声優は自分の役ではなく、ほかの声優が作ってきたキャラクターを演じることになります。
ハチワレを演じる青木さんには、田中さんが積み上げてきたハチワレ像を理解し、自分の声で再現する力が求められます。これは、共演者の芝居をどれだけ深く受け止めてきたかが試されるテストのようなものです。
先ほど挙げた「語尾の跳ね」と「言葉のつなぎ方」がちいかわの声で再現できていたのは、その理解の表れだと筆者は見ています。小澤さんが対談で語ったうさぎの解釈にも、3匹の距離感への深い理解がにじんでいました。
今後のアニメ化エピソードへの期待
『ちいかわ』は、原作の人気シリーズが次々とアニメ化されている作品です。入れ替わり回で示された「声優が役の幅を見せる」楽しさは、今後の不思議な設定のエピソードでも大きな見どころになると考えます。
また、声優インタビューを振り返る楽しみ方もおすすめしたいです。放送前の何気ない発言が、数年後の名場面につながることがあります。今回の入れ替わり回は、作品の外側の言葉まで含めて楽しむ面白さを教えてくれた好例だと感じています。
スロット編をこれから観る人・見返す人への聞きどころ
最後に、第202話を観るときに注目してほしいポイントをまとめます。
- スロットの図柄がそろってから異変が起きるまでの「間」
- ちいかわ(中身ハチワレ)の語尾の上げ方と、言葉をつなぐテンポ
- うさぎ(中身ちいかわ)の、いつもの叫び声とは正反対の控えめな声
- ハチワレ(中身うさぎ)の、足を組んだ余裕の態度と言葉の少なさ
一度目はストーリーを、二度目は声だけに集中して観ると、3人の細かな工夫がよりはっきり分かるはずです。配信状況は時期によって変わるため、視聴方法は公式の案内で確認してください。
まとめ:ちいかわ入れ替わり回は声優3人の演技力が光る神回
アニメ『ちいかわ』の入れ替わり回は、2024年9月13日放送の第202話「スロット①」です。うさぎが見つけたゲームセンターのスロットをきっかけに、ちいかわ・ハチワレ・うさぎの心と体がシャッフルされました。
声優は体側のキャストがそのまま続投し、青木遥さんがちいかわの体でハチワレを、田中誠人さんがハチワレの体でうさぎを、小澤亜李さんがうさぎの体でちいかわを演じています。
原作はナガノさんが2021年12月にXへ投稿したエピソードです。2022年の対談で青木さんが明かした自主練習の話は、この神回への伏線のようにも読めます。
「喋らない主人公」という作品ならではの条件のもとで、見た目は同じまま中身の違いを声だけで表現しきった。その挑戦の大きさこそが、この回が「神回」と呼ばれる一番の理由だと筆者は考えています。
よくある質問
ちいかわアニメの入れ替わり回は何話ですか?
第202話「スロット①」です。2024年9月13日(金)に『めざましテレビ』内で放送され、第203話「スロット②」以降も続く連続エピソードになっています。
入れ替わり回で声優は変わりましたか?
声優の変更はありません。体側のキャラクターの声優がそのまま担当し、中身になったキャラクターの口調や性格を演じています。ちいかわの体に入ったハチワレは、ちいかわ役の青木遥さんが演じました。
青木遥さんは入れ替わりの演技を練習していたのですか?
練習していました。2022年3月31日公開のアニメイトタイムズの対談で、青木さんは原作漫画を見ながら入れ替わり後の台詞を練習したと話しています。元の姿に戻る場面では、ついハチワレのテンションで台詞を言ってしまったそうです。
(文:高橋 凛/アニメ・漫画考察ライター。アニメ『ちいかわ』は2022年4月の放送開始から追いかけ、原作のX投稿とあわせて演出の違いを見比べています)
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